アンバサダー

築浅マンションがいきなり「BORDER5」⾼得点を獲得できた理由?井⼾端会議から始まった理事会改⾰と修繕積⽴⾦の⼤幅⾒直し?

BORDER5のアンバサダーである應⽥さんがインタビュアーになり、ルネ本厚⽊管理組合の皆様にマンション管理についてインタビューを行いました。今回のコラムはその前編です。

マンションの属性データや理事会の体制について

應⽥(インタビュアー):本⽇はルネ本厚⽊管理組合の皆様にZoomでインタビューさせていただきます。こちらのマンションは2020 年2 ⽉築、総⼾数222 ⼾の⼤規模マンションですが、さくら事務所が運営するマンション管理の評価制度「BORDER5(ボーダーファイブ)」において、全項目で⾮常に⾼い点数を取得されました。

 

普通、理事会運営や財務の部分はともかく、防災やコミュニティといった項⽬は理事が多くの⼈数で取り組むなど⼈的資源を⼤量に使わない点数が伸びにくいため、築浅マンションで早期に全項⽬で⾼得点を取るケースは珍しいです。まずは、その秘密や先進的な理事会運営のコツについて伺いたいと思います。マンションの属性データや理事会の体制から教えていただけますか?

 

⽯井(前理事⻑・現修繕委員):はい、よろしくお願いいたします。当マンションは現在築6年⽬、第6期になります。⼾数は222世帯です。理事会の運営としては、第2期から理事の「半数改選(任期2年)」を導⼊しています。毎年半分ずつ理事が⼊れ替わり、2年継続で引き継ぐ形をとっているため、引き継ぎの部分で理事会運営としては安定してきていると感じています。

 

私が理事に⼊ったのは第4期からですが、やはり2年携わることで、1年⽬に学ぶことができ、2年⽬にやるべきことが明確になるので、良い⽅向に進んでいると思います。

 

應⽥:2期⽬から全理事の半数改選を導⼊しているというのはとても早いですね。普通のマンションだと、後から「2年任期なんて聞いてない、騙された」と怒られたりして、なかなか移⾏できないことが多いのですが、志の⾼い理事⻑さんが初期にいらっしゃったのでしょうね。⽯井さんが第4期に⼊られた当時、管理組合の状況はどうだったのでしょうか?

 

⽯井:私が理事会に⽴候補した当時、皆様の「修繕積⽴⾦」に対する関⼼が全くなかったというのが正直な感想です。実は私、理事会に⼊る前から他マンションのYouTube事例などを⾒てかなり勉強しておりまして、築5年で「均等積⽴⽅式」にしたという話に衝撃を受け、「うちのマンションはどうなっているんだ?」と気になっていました。

 

そこでまず、管理会社のフロントマンさんに質問したのですが、「他のマンションと同じくらいです」という明確な答えが出ない状況で、これではらちが明かないと、⾃分で修繕積⽴⾦に関する資料を作り始めました。

数億円の修繕積立金不足に気づく

應⽥:なるほど。当時の理事会の雰囲気はどのような感じでしたか?

 

⽯井:最初は正直、「井⼾端会議」のようなところがありまして、議題も決まっていなかったんですよ。管理会社さんから配布された資料を読み上げるだけのスタイルで、本当にトピックスがないような状態でした。

 

これは「いかんぞ」というところからスタートしまして、まずは議題を作るということ、そしてプロジェクターを買うという初歩的なインフラを整えるところから始めました。そこから、修繕積⽴⾦の問題を理事会の共通認識にするために、厚⽊市のマンション管理⼠を呼べるサービスを利⽤したのが初動です。

 

應⽥:市のサービスを利⽤して、専⾨家の意⾒を聞いたのですね。

 

⽯井:はい。市のサービスを利⽤して、「今の修繕積⽴⾦が適正ですか?」と⾒てもらったところ、「相場と⽐べてだいぶ低い。駐⾞場の収益を全部管理費に回してしまって、貯⾦が全くできていない。築浅の今なら挽回できるが、将来的に困りますよ」と⾔われたのがきっかけでした。

 

應⽥:現在、修繕積⽴⾦は平⽶あたりいくらぐらい集めておられるのでしょうか?

 

⽯井:70平⽶の部屋で、1平⽶あたり220 円(⽉額約1 万5000 円)まで上げました。上げた理由としては、将来的な資⾦計画を⾒通した際、初期の修繕計画の中に「タワーパーキングのリニューアル費⽤」が⼊っていなかったからです。各メーカーに⻑期修繕計画を作成してもらい、将来のリニューアル費を確認したところ、現在の、修繕積⽴⾦では数億円不⾜していることが判明しました。

第5期に修繕積立金の値上げなど、さまざまな施策の見直し

應⽥:築浅の早い時期に220 円まで上げられたのは素晴らしいですね。しかし、住⺠の説得は⼤変だったのではないですか?

 

⽯井:はい、第4 期の時に「修繕積⽴⾦が⼤幅に⾜りません」という事実を全⼾配布しまして、少し炎上してしまったんです。「売主の責任じゃないか」「理事会は何を考えているんだ!」と⾊々な意⾒が出ました。しかし、それでも「⾜りない!!」という共通認識を第4期で持たせることができました。

 

その種まきがあったからこそ、第5 期で⻑計の⾒直しと「修繕積⽴⾦の値上げをします」と宣⾔し、実⾏に移すことができました。

 

應⽥:5期⽬あたりで住⺠に⼗分な時間をかけて説得し、ポンと値上げを⾏うというのは、⻑期的な安⼼という基準にもバッチリ合致していますね。先ほどタワーパーキングのお話が出ましたが、メーカーと直接やり取りされたのですか?

 

⽯井:はい、ここがうちの⾃慢できるところかもしれませんが、対⾯で「直談判」して保守費⽤の減額交渉を勝ち取りました。初期の保守費⽤が⾼いのは⽬に⾒えてわかっていたので、私から「住⺠に納得してもらうために、⾼い理由を直接説明してほしい」と交渉しました。対⾯で交渉したことで、結果的に減額を引き出すことができ、他社とも競合させて⾊々な業者と対⾯で交渉できたのが我々の強みだと思っています。

 

應⽥:管理会社任せにせず、役員が直接交渉の場に出るのは⾮常に先進的ですね。また、⻑期修繕計画そのものも50 年計画にされていると伺いました。

 

⽯井:はい、あえて50 年計画にしています。実は40 年過ぎから45 年頃にかけて、タワーパーキングの改修や配管⼯事など、⼤きな修繕がすべて重なる時期が来るんです。そこを網羅できれば「80 年マンション」を⽬指せるかなという意味で、50 年というスパンで計画を⽴てました。

 

修繕周期も、管理会社に延伸できないか案を出させ、12 年周期と15 年周期のコスト⽐較グラフを作成して住⺠に説明し、第5期で15 年周期へ変更することができました。

最後に

應⽥:素晴らしい⾏動⼒です。ちなみに、厚⽊市の無料派遣で来たマンション管理⼠さんは、その後どうされたのですか?

 

⽯井:市のサービスで無料でお越しいただいた後に、継続してサポートしていただけないか打診しまして、現在も毎⽉来ていただいています。市のオブザーバーみたいなベテランの管理⼠さんで、私が熱⼼に取り組んでいる姿勢を⾒て「このマンションなら⼿伝おう」と⼼意気で引き受けてくださいました。

 

私がペラペラ喋るだけだと素⼈が⾔っていると思われがちですが、やはり専⾨家である管理⼠さんが同席して「そうですね」と頷いてくれるだけで、住⺠への説得度がだいぶ違うんです。⾮常に⼤きな存在ですね。

 

應⽥:外部の専⾨家を上⼿に巻き込みながら、築浅の段階で管理の基盤と財務の健全化を⼀気に成し遂げたわけですね。後編では、もう⼀つの⼤きな強みである「防災・コミュニティ活動」の裏側と、今後の展望について詳しく伺っていきます。

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