
あなたのマンションの理事長はどのタイプ?
日本には10万を超える分譲マンションがあって理事長って10万人くらいいる筈なのですが、人口比にしてしまうと1000人に1人です。理事会のあるべき運営みたいな「理事会目線」の話題を不動産系の記事に書いてもなかなか読みにきてもらえないのですがわざわざBORDER5の記事を読みにくる方は「自分で管理すること」に関心の高い人が多いでしょう。
アンバサダー(宣伝大使)としての私のコラムでは「理事(長)目線の話題」で、かつ「管理組合サポートが仕事の人が立場的書きにくい話題」を積極的にとりあげていけたらなと思います。何が書きにくいことなのかはすぐわかります。
【理事長のタイプ分類】
理事会制度で管理をするということは、日常的な決定は全て理事会が下すということ(総会で決める重要事でも、議案にするのは理事会)です。
理事会を助けてくれる会社は沢山あって、管理会社でもよいし、さくら事務所のようなコンサルタント会社でも、はたまた個人の管理士を雇ってもいいですが、例えどれほど優秀な会社をサポートに雇っても、理事会自身の実力を超えた管理は絶対にできません。
「一頭のライオンに率いられた百匹の羊の集団は、一匹の羊に率いられた百頭のライオンの集団に勝る」はナポレオンが好んで口にした西洋の諺だと言われています。理事会のカラーというのはやはりそのトップを務めている理事長が誰であるかによって大きく変わることは確かでしょう。
実は理事長には4つしかタイプはないと私は思っています。理事長自身がどれだけ体を動かしているかの「理事長負担度」の大小×その理事会にオーナーが満足するような「管理の達成度」があるか否かの4パターンです。
図のように、各々に「1/独裁型」「2/鬱病型」「3/放置型」「4/議長型」って名前をつけて各々の理事長が口にしそうな典型的なセリフを書いておきました。
住民から見れば、ちゃんと問題を解決して良好な管理をしてくれれば、その結果理事長が過労死しそうだろうが知ったことではないですから、“達成度大”の右側のほうであればよいわけです。
一方で理事長から見れば別に仕事でやってるわけじゃないから“大変”なのか“大変でない”のかは大問題で、無論目指すべきは「議長型」ということになります。
理事長負担度の上下は、例えば総会とかで議案の説明や質疑応答を理事長自身がしていたり、理事会の資料や総会の議案をせっせと書いていたりしていれば負担度は大、他の人に任せていれば負担度は小だと言えるでしょう。任せる相手が管理会社担当に丸投げしていれば「放置型」他の理事に任せていれば「議長型」です。
私自身は、もとは「鬱病型」で今は「独裁型」。私のマンションの今の理事長は「議長型」です(だからずっと理事長なわけですが)。
「放置型」の理事長が他のマンションの管理がどうかとかに関心を持つはずはなく、BORDER5のコラムを読みにくる理事長さんにも少ないと思いますが、国内全マンションの中では案外多数派かもしれません。
【理事長タイプ別処方箋】
私が主催しているRJC48(マンション管理組合理事長勉強会)の理事長にも理事長同士の交流を「放置型」がやるはずはなく実際殆どいません。「鬱病型」の人は任期の2年くらいでそれこそ鬱になってお星様になってしまうので結果としてずっと残っている人には「独裁型」が多くなります。心臓に毛が生えた理事長が「鬱病型」の人に“もっとしっかり頑張れ!”とかの酷なセリフを…それ鬱の人にいっちゃだめ。
「鬱病型」の理事長が無限に頑張っているのに成果がでない理由は、ライオンを率いた羊さんになってるか、はたまた他理事全員にやる気ないかのどちらか。即ち決定力が足りていないわけで、理事長を辞めるのでなければ、残り理事全員に“挙手さえできればよいいぞ!”で「独裁型」をやるしかない。結果を出すほうが優先で、ずっと理事長やるならこれはこれでありです。
一方で独裁していると疲れます。1―2期理事長だった私は、理事会の資料と総会議案書も全ページ作成、総会で理事会側でしゃべるのは私だけでした。ずばりこんな感じ。
このタイプの方に不足しているのは“仲間にお任せする能力”ですので、頑張っている間にお仲間をつくって“任せる”しかありません。会社じゃないので部下相手みたいに仕事だけ割り当てて、お任せで権限を一切移譲しないではうまくいく筈がないからです。
【 理事会の能力を超えた管理は誰にもできない 】
X(旧Twitter)で理事長本人と、理事長以外の理事の人で自分は/理事長はどのタイプ?って質問したときには、理事長本人が思ってるよりも脇で見ている理事からは、ずっと“理事長は負担が重くない”と思われていて“達成度も高いとは評価されていない”って全く救いのないアンケート結果でした。本人が思っている以上に外からみると理事長は「放置型」よりなわけです。
“大事なことは全部理事会が決める”ように日本の管理方式は進化してきたわけですから、管理がうまくいかないのは全部理事会のせいで、もっといえば管理者である理事長の能力不足ってことになります。
理事長は自罰的であれば自ら立て直せます。うまくいかないのを他人のせいにする他罰的な理事長さんの典型的なセリフが“管理会社がちゃんとやってくれない!”です。
多くの管理会社のフロント(担当者)経験のある管理士さんと話すと、どの管理会社も、理事会を3つくらいにランクわけしています。うちはどのランク?とか訊いても教えてはくれませんが。
自ら解決しようという意志もなく、誰も体を動かさないで、理事会で担当者虐めだけしているランクC理事会に、Aランクの担当者を送って、カスタマーハラスメントで病院送りにされても困ります。管理会社側から送られてくる担当のレベルが低いとしたら、それって理事会のレベルが低いからで、写真のように“鏡に映った自分”を見ているだけかもしれないわけです。各担当支店の上位2割くらいのエース級フロントは、その価値をわかってくれる管理組合に送られます。
これは、管理会社が相手ではなくて、“理事会を助ける”のが仕事の修繕コンサルタント会社(さくら事務所が典型例ですね)や管理士を雇っても同じです。“管理会社が気に入らない”からリプレースするぞで、とにかく管理会社は入れ替えてあげますって感じのいけてない「焼き畑農業系コンサルタント」会社を雇って、今度はその会社と喧嘩しているとかがありがち。
理事会をサポートする仕事の人(管理会社でも、管理士さんでも)が、貴方が決定力不足だから決まんないんですよとは口にできません。客のせいでうまくいかないとも言えないですし、諫言して仕事きられちゃっても損だから。お布施が時間比例だったりしたら、実は理事会はぐだぐだな程お金にはなったりしますし・・・
自分自身に目を向けないと、自分が一番問題だというのに気がつくことはできません。
どうも理事会が低調だからで、誰かに単にお布施を払ったからといってそれだけで管理がうまくいくようになるということは~理事会制度でやっている限りは~起こりえないわけです。
ちょっと暗黒面に堕ちた話題になりましたが、そこそこの長さになったので、“理事会(特に理事長)心得編”は次回に続きます。