
BORDER5のアンバサダーをお受けして(應田治彦)
上位5%の管理状況にある管理組合を紹介していくさくら事務所の「BORDER5」の宣伝大使(アンバサダー)をこのたびお受けすることになった“はるぶー”こと應田と申します。マンション管理の話題は“理事会目線”からブログなどにしてもなかなか読んでもらえないのは、理事長は日本人の千人に1人しかいないからですが、マンション管理に特化したこちらBORDER5のコラムで、“理事会方式での管理組合運営”や、管理良好なマンションの取材記事などを書いていけたらなと思っています。
【“理事会”方式でマンション管理を進める意味は?】
国内の10万棟を数える組合の殆どには現在は理事会があって、オーナーから選ばれた理事を中心として管理組合が運営されています。
一方で、新築マンションの価格が高騰するに従って、自身も必然的に本業での時給単価が高くなる高額マンションのオーナーが、手弁当に近い形で理事会の役員を務める方式は急速に廃れてきていて、都内の新築のマンションでは管理会社などのプロが理事長役(管理者)を勤める管理者管理方式(第三者管理方式)が急速に普及してきています。
昭和から平成に代わって“管理員さんの住み込み”や“団地自治会の延長戦上での自主管理”がなくなったように、令和の時代には、“理事会のある”組合はちょっと古い平成風のマンションだと言われる未来が、もうすぐそこにまで来ているのではないかなと。
私は、マンション管理には“守り”と“攻め”があると思っています。現在と同じ状態を大過なくあと20-30年継続してくださいという“守り”は管理会社が得意とするもので、評価制度などで一度高評価をとっても、それをずっと維持するというのは、個人プレーに頼りがちなスーパー理事長や、個人の管理士等が主導する属人的な管理組合運営では実現は困難でしょう。第三者管理も含め管理会社は本来的に“守り”に強いわけです。

【理事会方式による“攻め”のマンション管理とは?】
理事会がなくなる令和の時代にわざわざ理事会制度で管理を進める理由は今⽇とは異なる明⽇のマンション価値を創っていく“攻め”にあるのではないかなと。もともと大過なく管理できているのであれば、第三者管理を受けている管理会社に、非常な苦労をしてその先を進めたり、防災やコミュ二ティ活動など“人手”を膨大にかける必要のあることに力を割いていく動機つけは困難です。“守り”の管理で全マンションで“合格点”をとらせることはできても、その先の“満点”を目指す理由はないわけです。
一方で、管理組合が“隣とはなにかが違うのだ”という何らかの差別化を打ち出していかないと、無数の組合同⼠の競争の中で埋没してしまいます。BORDER5では、ハイレベルな防災やコミュニティ活動といった住民が積極的に多数参加することではじめて可能になる“攻め”のマンション管理を実現できている事例が多数紹介されています。
オーナー理事に大きな負担のかかる“理事会制度”で管理を進める意味は、わずかばかりの管理費をごく一部の理事のみがタダ働きをして節約することではなく、理事会が機能していなければ実現できない“攻め”の管理を実現することにあると私は思っていて、掲載例はまだまあ少ないですが、BORDER5で取り上げられている管理組合理事会はさすが上位5%を選びますの売り文句の通り、なんらかの新しい価値を理事会が創造しているように思えるわけです。

【乱立する評価制度と私の考えるBORDER5のもつ意味】
上位5%の運営レベルを認定する「BORDER5」はいち早く管理状態の差をアピールできる制度として始まって私が理事をしているマンションはその第1号認定を頂いています。
一方で、現在管理状況を格付けする制度は、国の「認定制度」管理業協会の「評価制度」管理士会の「適正化診断サービス」の3つが乱立状態にあります。どうしても評価を受けて維持するためにはお金もかかるわけで、評価を得たらなにかインセンティブ(見返り)があるのかどうかが管理組合側では強く意識されがちです。どうしても住宅ローンやすまい・る債の金利優遇に固定資産税の減免措置などのある国の「認定制度」へのワンストップでの申請を可能とするために、3つの格付け制度の基準は結果として似通ったものになってきています。
法令遵守や長期修繕計画や積立金徴収など、30年先まで生き残っていける“守り”の要素に重点的な点数配分がなされています。例えばBORDER5では4つの面からの評価で総計で40点満点のうち実に半分の20項目が“コミュニティ・住み心地”と“防災力”に割り当てられていますが、これらはもともと管理会社の第三者管理などは苦手にしている“攻め”の要素に入ってくるものです。コミュニティや、防災に関わる評価は、法令遵守や財務状態を重視した「認定制度」をさらに細かく点数化した「評価制度」では100点満点中わずか10点の配分です。
残りの9割もきちんとやった上で、“コミュニティ・住み心地”や“防災力”にも力を注いでいる“攻めの管理”をしている理事会の人のそこに評価を受けたいニーズにはあっていうのではないかなと考えられます。
【理事会目線からは“よしよし”が足りない】
BORDER5では高評価を獲得したマンションは、“他とは何が違うのか”をとりあげたコラムをはじめとして特徴のよくでた写真の掲載など上位5%の評価を得たマンションの取り上げ方が丁寧です。
一方で、「認定」「評価」「診断サービス」など他の制度では、例えば最高評価を得たマンションを個別にとりあげるなど、苦労して高評価を得たのに、その理事会の人からみたらあんま褒めてもらえた達成感がありません。人間がやるわけなのでその人にとってのやりがいがないと高評価をとる動機つけが組合にあってもやってる理事にはないことになります。
“マンションは管理を買え”と言われてはや何十年、管理のレベルの差が定量化されてうちは違うんだという外部からの評価がようやく始まったわけで、さして利率がいいともいえないすまい・る債の利率が僅か0.05%優遇されるといった小さな金銭的インセンティブではなく、格付け制度で“高評価をもらっていること”がそのマンションの購入検討者につたわるという、“評価の星がついていること”そのものがインセンティブでなければならないわけです。苦労して評価をクリアした理事長さんからみると“よしよし”してもらえる部分が今一番足りていないのではないかなと私は思っています。
BORDER5に掲載の特に大型マンションは自前で組合を紹介するホームページをあげている例も多いのはそんな気持ちの現れかなと思いますが、自分で自分を“よしよし”はできません。誰かが適切に褒めてあげないといけないと思うわけです。
【應田(はるぶー)がアンバサダーとして目指すもの】
BORDER5の『アンバサダー』として理事会制度のもとで⽬指すべき“攻めの管理”とはどうあるべきか、また外部の専⾨家や会社の起⽤⽅法や理事会の運営などについて、⾃⾝の体験を踏まえた情報発信をしていければと思っています。
可能であれば、BORDER5に掲載されるマンションをコラムの書き手として訪問した上で“ここがほかとは違うんだよ”という記事にできて、そのマンションの理事長さんなど理事会の人が、自分のマンションの組合員や検討者さんにうちはこんなマンションなんですと紹介できるようなコラムが書けたらなと思っています。
「BORDER5」のコラムでは、個別マンションをとりあげる一方で、他で書いている記事などとはことなり、より“理事会による管理組合運営”に特化した記事を書いていきたいと考えています。