マンション管理

築浅マンション必見!新築時から怒涛の勢いで改善に取り組むマンション管理組合

神奈川県横浜市神奈川区にある「ザ・パークハウス横浜新子安ガーデン」は、2015年1月竣工。

 

地上10階建て、地下1階建て、総戸数497戸の大規模マンションです。

 

「一部の人だけが引っ張っていくのではなく、みんなでマンションを経営していく」という方針で管理組合運営に取り組んでいます。

 

今回は、「ザ・パークハウス横浜新子安ガーデン」のマンション管理組合についてご紹介します。

 

築年数の浅いマンション管理組合で何から手を付けたらいいかわからない、という方は、これらの取り組みをぜひ参考になさってみてください。

組合運営はオンライン中心で、スムーズな情報共有を

「ザ・パークハウス横浜新子安ガーデン」の管理組合の日常的なやり取りは、基本インターネット。理事は18名。築年数がまだ浅いこともあって、30〜40代が中心です。

 

シニア層も特に抵抗なく、インターネットを通じたやり取りは意外にも早く浸透しました。理事会の日程調整や出欠確認はもちろん、議事録など資料はすべてデータで保存。

 

担当役員の資料の引き継ぎや情報共有の効率が高まり、活動のスピードアップにもつながっています。いまだに多くの管理組合では、資料がそれぞれの理事のパソコンに別々に保存されていますが、情報の共有ができず、理事交代する際にこれまでの経緯がわかりにくくなっていまうのが欠点です。

 

ITを活用すれば全戸向けのアンケートを取る際にも、住民はスマホやPCから回答できるので回答率が高くなり、手軽に参加できるのがメリットです。

 

将来的には完全ペーパーレス化を目指していますが、ネットの使えない方や抵抗感のある方もいらっしゃるため、書面でも対応。確認忘れ防止の観点から、現時点では全戸に書面を投函しています。

役員の任期を見直し、理事会に継続性を。そこから怒涛の改善

1期目には、理事が一度に入れ替わって活動が途切れることのないよう任期2年とし、半数ずつ交代となるよう、早々に規約を改正しました。

 

また、共用部の火災保険について満期返戻金が受け取れる「積立マンション保険」の導入、修繕積立金の一部の「マンションすまい・る債」による運用などに取り組みました。

 

更に2期目には共用施設の運用改善に取り組みます。ホテルのようなゆったりとした「ラウンジ」をはじめ、「ゲストルーム」「キッズルーム」「シアタールーム」「パーティールーム」「スタディルーム」「スタジオ兼集会室」など共用部分は非常に充実しています。

 

しかし、すべての共用施設が住民の役に立っているわけではありませんでした。シアタールームには、大型スクリーンに最新の音響設備があり、防音にも配慮した上で、室料は1時間4 0 0円と格安だったにもかかわらず、ほとんど利用されていませんでした。

 

このままでは、維持・メンテナンス費用ばかりかかり、負の遺産となるのも時間の問題でした。

そこで知恵を絞って導入を決めたのが、ポータブルカラオケ機器。防音が配慮された施設という特性を生かし、映画などを観るだけのシアタールームを、カラオケルームとしても使えるようにしました。この方策が奏功し、シアタルームの利用者が増え始めました。

 

とりわけ利用が増えたのは、小学校低学年や未就学児の子どもを連れた親子連れ。購入したカラオケ機器は、組合総会やクリスマス会などで拡声器としても活用しています。

 

また、多くのマンション同様、ここでも悩みの種となっていたのが、機械式駐車場。日々の高額な維持費に加え、30年後などの将来、莫大な交換コストがかかります。

 

「ザ・パークハウス横浜新子安ガーデン」では、入居直後から駐車場の稼働率が70%程度と低く、外部貸し出しなどを検討しました。

 

しかし、マンション敷地内に外部者が立ち入ることとなるため、セキュリティ面を考慮したうえで断念。結果、長期修繕計画の見直しと合わせ、立体駐車場の一部を取り壊し、平面式に転換しました。同時にミニショップの営業時間やミニバイク置き場の使い方も改善しています。

 

また、売り主による2年間のアフターサービスを積極的に活用するため、専門家に建物の点検を依頼したうえで、専有部・共有部ともに無償で補修を受けるべく承認をとり、大きな成果を上げました。

 

共用部だけでなく、専有部(各住戸のお部屋うち)のアフターサービスも活用すべく、自身でできるチェックポイントについて専門家(ホームインスペクター)からレクチャーの場も設けました。

積極的な防災活動、地域の一時避難所にも

防災活動にも積極的に取り組んでいます。

「ザ・パークハウス横浜新子安ガーデン」の広大な敷地は、かつて日産自動車のグラウンドだったこともあり、古くから地元の交流イベントや防災訓練の場所として、地域住民の方々に長く親しまれてきました。

 

また横浜市「地域力・魅力アップ・新子安地域まちづくりプラン」に認定されており、敷地内には「一時避難所」「認可保育所」「学童保育施設」「地域交流施設」が設置され、地域に開かれたマンションとして、マンション管理組合が積極的にコミュニティ活動や防災活動を展開しています。

 

16年9月には地元消防署、警察署、消防団の協力のもと、地震後の火災発生を想定した避難訓練を行いました。分刻みのタイムテーブルを作成し、避難誘導などスムーズな進行を実現しました。

 

地域防災拠点となっている敷地内のサークルガーデンでは「防災用マンホールの組み立て」「水消火器による消火訓練」「全戸配付の在宅マグネットシートを玄関扉に掲示」「I Tコミュニケーションツールを使った、安否確認機能の動作確認」などのプログラムを実施し、約3 0 0名が参加しました。

 

2019年9月に行われたものは、ネット上での回答含め、433戸と、参加率87%でした。

 

「マンション防災マニュアル」は竣工当初から検討着手、理事会内に「防災検討班」も設置しています。アンケートの実施により、要支援者のリストも作成済みです。

法人化、修繕積立金徴収方式の見直しも

3期目には、理事長の責任分散や活動の円滑化を目的に管理組合を法人化。町内会から独立しマンションを1つの自治会とするなど、組織形態の調整を行いました。

 

理事は立候補と輪番との組み合わせですが、輪番で理事が回ってきても、やむを得ない事情等で当年の理事活動に参加できない方もいます。

 

こうした場合には「管理費の半額×任期」分を支払えば、理事を担えない場合の選択肢として「管理協力金制度」を設けました。分譲時からの長期修繕計画も、大幅に見直しました。従前計画の期間を30年から50年に延長。

 

さくら事務所のアドバイスも受けながら必要な積立金額を割り出し、平米1 0 0円程度だった積立金を、2 6 8円と一気に値上げしました。

 

段階的に値上がりするより50年均等である利点を丁寧に説明しつつ、95%以上の賛成で可決しています。

市場に変化が起きても、選ばれるであろうマンションへ

ザ・パークハウス横浜新子安ガーデンの取り組みは、このほかにも「ミニショップを活用した夜の集い」「七夕、ハロウィン、クリスマスイベント」「広報誌・理事会だより配布」「不要自転車無料処分」「宅配ボックスによる書留郵便受け取り」など、住民間のコミュニケーションや生活利便性に配慮した活動が目白押しです。

 

当時の理事長は「管理組合運営のカギは言うまでもなく〝人〞。今後も円滑に活動が引き継がれていくことが大事です」と語っています。

 

ザ・パークハウス横浜新子安ガーデンは、立地、規模、グレード、管理組合の運営も地域ナンバーワンとも言われています。

 

このようなマンションの優位性は、今後市場に大きな変化が起きたとしても高いままでしょう。

 

編集:BORDER5編集部
監修:さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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