新型コロナ感染拡大、「管理会社任せにしない」意識を改めて
昨年は新型コロナ感染拡大の影響から、通常通りにいかないことも多く、活動の足止めを余儀なくされたマンション管理組合も多数ありました。
そんな中、この状況においても管理力向上に向けた取り組みを継続し、2度目の挑戦でBORDR5掲載に漕ぎつけたマンションがあります。
今回は、ベリスタ常盤台の前理事長小﨑さまにお話を伺いました。東武東上線「ときわ台」駅徒歩1分の立地に恵まれた総戸数107戸のマンションです。2009年に竣工、来年には大規模修繕工事を控えています。
きっかけは、管理良好マンション理事たちのトークセッション
過去に共用部の不具合や管理費の見直しなどの懸念事項についてアドバイスを求めた専門家の声を聞くなかで、組合運営を改善する必要性を感じてきたと前理事長は振り返ります。
小﨑さん:理事を長く務めてきましたが、理事長になったのは一昨年です。マンションの管理について疑問や不安を感じていましたが、マンション管理に関する情報はまだまだ少なく、「100年マンション」(さくら事務所会長長嶋修著)などの書籍やメディア、また他マンションの理事長がSNS等で発信する情報などを参考に情報収集を続けてきました。
BORDER5:マンション管理ドックに応募いただいたのはどのような経緯だったのでしょうか?
小﨑さん:昨年2月、さくら事務所主催の管理優良マンションの理事長たちによるトークセッションイベントに参加したのがきっかけでした。
実際に管理組合運営に熱心に取り組まれている理事長たちの話を聞き、無料キャンペーンを利用して管理ドックに挑戦することにしました。
自分たちのマンションだけが時代遅れになっていないか?
BORDER5:無料キャンペーンということもあり気軽に応募してみました、とのことですが、第三者のチェックを入れることで、どのようなメリットがありましたか?
小﨑さん:一番のメリットは「課題が明確になり、解決方法がわかった」ことです。
かねてより、自分たちだけが時代遅れの管理をしているのではないか?という漠然とした不安がありましたが、その不安が遠のきました。
課題が明確になり解決方法も提示されたことから、組合運営の改善にむけて理事全員が集中できるようになったのは大きかったです。今思えば、以前は課題もわからず正解もわからないような取り組みが多く、四苦八苦していました。
評価基準を前にして「なぜこうしたほうがいいのか?これにより組合運営にどんな効果をもたらすのか?」といったことまで見据えながら、1つずつ問題を解決していくことができました。
(マンション管理ドックでは単なる評価基準のチェックにとどまらず、更なる向上のための改善に向け、マンション管理士によるアドバイスも行っています。)
ゴールを共有することにより理事全員で取り組むことができた
BORDER5:2度目のチャレンジで見事、評価基準をクリアされ、BORDER5掲載となりました。改善点や2度目の挑戦までの取り組みについてお聞かせください。
小﨑さん:主な改善点ですが「かねてより問題だなと思っていたことについてこれを機に改善した」また「実態ではそうなっていたが明文化されていなかったことを改めてルールとして明文化した」という点が大きいと思います。
この評価基準を見て、自分自身「このままだと問題なのでは?」と思っていたことが、しっかりと評価基準として明文化されていることに驚きました。
自分自身が問題に思っていても、周りの理事にその問題意識や危機感を共有することがなかなかできずに着手できずにいたこともありましたので、強力な援軍となってくれました。
特に、駐車場会計の分離は、当初から必要だと思っていました。まさに、客観的な評価を受けるための基準を目にすることで、理事会のゴールが明確に共有できたのがよかったですね。
緊急事態宣言下、管理スタッフの穴埋めは・・・
BORDER5:新型コロナ感染拡大の影響も大きかった2020年ですが、マンションではどのような影響がありましたでしょうか?また、対策についてもお聞かせください。
小﨑さん:コロナ禍、一番大きな影響があったのが、昨年の緊急事態宣言下で、管理スタッフの勤務ができなくなったことでした。管理スタッフが行ってきた業務についてフロントマンが代理で行うようになりましたが、これまで通りとはいかないことがありました。
フロントマンも複数のマンションを抱えるなか慣れない作業をこなされており、大変気の毒に感じました。フロントマンの仕事量が増えたことにより、議事録作成や諸手続などの通常業務に遅延や漏れがやや目立ってきたこともあり、理事会としてマンション管理運営に支障がでないように全力でサポートしました。
このため理事会の労力は増しましたが、この経験も「管理会社任せにせず今後も自分たちの力で組合運営を進めていく」ことを改めて意識するよい機会になったのではないか、と考えています。
これからBORDER5掲載を目指すマンションへ
BORDER5:これから管理良好マンションを目指す、または管理ドックを検討している理事様へのアドバイスをお願いします。
小﨑さん:理事も、マンションの専門家なわけでもなく、まして仕事としてやっているわけでもありません。
まだまだ世の中にはマンション管理に関する情報も少ないと思います。そんな中、管理良好なマンションであるための基準としてゴールを定められることで、何に着手すべきかを明確にすることができます。
「目指すものを理事会で共有する」ことが最も重要で、それさえ定まればフロントマン(管理会社)の協力によりBORDER5達成もさほど難しくはないのはないかと思います。
ぜひ気軽にチャレンジしてみては、と思います。
編集:BORDER5編集部
監修:さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)