マンション管理

管理良好マンションの新型コロナ対策とオンライン化への取り組み

全世界で猛威を振るう、新型コロナウィルス。感染拡大防止に向け、休校・休園、テレワーク導入、外出自粛要請などさまざまな取り組みが行われていますが、マンションにおいてもそれは例外ではありません。

 

また、管理会社の在宅勤務など、すでに新型コロナの影響で通常通りにことが進まなくなる可能性をお持ちのマンションもあります。

 

本来、感染症の対策までマンション管理組合として行うべきか?どんなことをどこまで対策すればいいのか?管理組合の皆さまもいろいろなお考えをお持ちのようです。

 

今回は、管理良好マンション「ミリカ・ヒルズ」の取り組みをその一例としてご紹介します。

マンション内の感染防止、早々に共用部、共用施設の閉鎖に踏み切る

緊急事態宣言発令や休校・休園にともない、マンション内の共用部にお子さんが集まっていることに不安を感じる、というマンションからの声も上がっていますが、マンション内の感染拡大防止のため、ミリカ・ヒルズは早々に共用部、共用施設の閉鎖に踏み切りました。

 

当マンションは、総戸数633戸、子育て世代のファミリーが居住者の7割を占め、約600人収容可能な体育館や、キッズスペース、カフェやゲストルームなど共用施設も大変充実しています。

 

これら共用施設の閉鎖については一部から反対の意見もあがりましたが、マンション内での感染拡大防止を最優先に考え、話し合いを経て3月1日には閉鎖に踏み切りました。

管理会社の業務縮小への対応(保守点検・清掃範囲)

管理会社の在宅勤務などの今後のリスクを考え、あらかじめ理事会から管理会社に提案し、保守点検・清掃範囲の縮小をしています。自主管理ではないことから、日常管理を管理組合だけで乗り切るのは現実的ではありません。

 

日常管理業務の従事者を保全しなければ、迎えうる管理不在は避けなければならないリスクです。管理組合ですべてを担うことは難しく、管理会社に履行いただかないと居住者が生活できなくなる可能性を考えての指示でした。

 

また、居住者の休校・休園、テレワーク、外出自粛により、生活ごみが普段より多く出ることを想定し、廊下や敷地外構の履き掃除や拭き掃除は止め、生活ごみの管理、エレベーター庫内外の除菌を最優先に行っていただくよう、管理会社に伝えました。

 

また、清掃スタッフについては、スタッフ複数名が1室の清掃員控室を利用していることから、1名でも感染すれば全員への感染にも繋がる懸念がありました。

 

そこで、緊急事態宣言発令以降は、清掃スタッフを2つのグループに分け、少しでも清掃スタッフ同士の接触機会を減らす仕組みを提案しました。

既に理事会のオンライン化は導入済み

災害時の安否確認のためのオンラインツールの導入も以前こちらでご紹介しましたが、ミリカ・ヒルズでは、その他にもオンライン化、クラウド化への取り組みを進めています。

 

例えば、毎月5時間の時間を費やしてきた理事会。理事会開催による3密を防ぐため、オンラインで開催しています。

 

もともと3年前からオンラインで行っており、最近になりツールを変更したくらいで今回の新型コロナの影響により大きな対応の変更を迫られることもありませんでした。

 

管理規約の61条の理事会および監事会の招集、決議規定の項に電磁的方法の規定を追加しています。

理事会は管理組合にとって必要な合意形成の場です。

 

いかにメンバーが負担なく、特に今の状況下において、新型コロナ感染のリスクを低減させつつ、スムーズに進めることが重要と考えています。

 

また、外部業者とのやり取りについても既に打ち合わせはすべてオンラインに切り替え、保守会社・提携会社にも当面、敷地内への訪問を避けていただくよう、通達しています。

総会のオンライン化(電子投票)、どうお考えですか?

多くのマンション管理組合が総会を間近に控える今、さくら事務所にも多数寄せられる「総会のオンライン化(電子投票)」についてもご意見を伺いました。

 

実際、オンライン化を可能とした場合、どのようなメリットが考えられるのでしょうか?

 

ミリカ・ヒルズでは、総会の出席率は9割に上りますが、残りの1割について委任状等の提出を総会前日に役員が個別で回収するかたちを行っています。

 

今のような状況がいつまで続くかわかりませんが、個別に回収することで多少なりとも居住者との接触は避けたいところです。電子投票を導入することで、個別回収の負担を削減することができるでしょう。

 

また、総会資料や総会議事録の電子化により、印刷コストの大幅な削減を見込むことができます。管理会社の業務負担についても同様。

 

議決権行使書等の事前提出分の集計業務、議決権行使書の提出催促の業務、総会当日の集計業務についても撤廃することができますので、これにより他の管理業務に振り分けも可能になります。

 

もちろん、書面には書面のメリットもあります。総会の電子化は無論、完全移行ではなく、電磁的方法も選択可能とするにとどめる方向で検討されているそうです。

 

参考「ミリカ・ヒルズ」公式サイト

 

編集:BORDER5編集部
監修:さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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